【虫歯より恐ろしい歯周病】
虫歯は歯そのものの病気ですが、歯周病は歯を支えている歯肉や歯槽骨などの病気で、以前は歯槽膿漏と呼ばれていました。
歯を支えている土台が破壊されてしまうとうまく噛む事ができなくなり、内臓にも負担をかけてしまう事になります。
初期の場合、歯ぐきが腫れる、出血するなど痛みがあまり出ません。
進行していくと、さらに赤く腫れる、出血膿が出る、口臭がする、歯がぐらつく、物が噛めない等症状がでてきます。
正常な歯周組織の断面図
正常な歯周組織の部分拡大図
歯肉は健康に保たれ、歯ブラシをしても出血しません。
軽度な歯周組織の部分拡大図
歯肉に炎症が起き始め、リンゴを噛んだりしたときに血が出ることがあります。
この段階では比較的治療が早く終わります。
中度な歯周組織の部分拡大図
炎症が進行すると歯周ポケットができてしまいます。出血もしやすい状態です。
痛みがあまりない為、見逃しやすいですが治療せずにいると取り返しのつかないことになります。
重度な歯周組織の部分拡大図
炎症がさらに深く進行すると歯周ポケットも大きくなり、膿が出たりします。
この段階でやっと自覚症状が出てきます。
時には歯を抜かなくてはいけなくなる事もあるので、軽度な段階で予防しておきたいものです。
急性症状として痛みが出ることもありますが、自覚症状がないまま進行してしまうのがこの病気のこわいところです。
ですから、痛みが出てきた時には重度の歯周病になってしまっている事が多いのです。
一見、歯ぐきが腫れているくらいにしか見えなくても、実際は歯を支えている骨が溶けて無くなり虫歯にかかっていない健康な歯でも支えられずに抜けてしまいます。
■歯周病の原因は
歯周病の原因はプラーク(歯垢)や歯石です。ご自身の免疫能力や環境、内科的疾患や加齢、喫煙等、後天的な要因とが複雑に絡み合って発症します。
【歯周病治療の流れ】
[1]全身疾患や歯科既往歴、生活習慣を確認する。
[2]患者さんの最も困っている内容や希望をカウンセリング
[3]お口の中の歯ぐきの色、形、硬さや出血の有無、歯と歯ぐきの間の溝(ポケット)の深さ測定、歯石、プラークの有無、歯の動揺度等細かく検査します。
[4]必要な場合はレントゲン写真や噛合わせの模型をとり治療計画をたてます。
[5]まず、患者さんのお口にあった歯ブラシを選び、ブラッシング指導から始めます。
磨き方は、歯肉の炎症の状態や歯並び等によって、少しずつ違ってきますので、よりよい方法で磨ける様、お手伝いさせていただきます。
普通の歯ブラシだけでは不十分な場合には、歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシ等の補助的な清掃用具も紹介させていただいています。
[6]正しいブラッシングでプラークを除去後、歯石を除去していきます。回数は歯ぐきの炎症の状態や歯石の付着状況により異なります。
[7]これらの処置で、ほとんど改善されますが、重度の場合は稀に歯周病外科手術が必要な場合もあります。
[8]治療が終了した後も、ほとんどの患者さんが4ヶ月毎、6ヶ月毎、又は1年毎などの間隔で検診を続けて頂いています。期間は患者さんのお口の中の状態やお仕事等のご都合に考慮して決定いたします。
以上、簡単に流れを説明させて頂きましたが、今では多くの患者さんが検診にみえています。
これは患者さんの口の中の健康への関心の高さ、ケアの必要性、全身に及ぼす影響等と知って頂いた結果であると思います。
私たちは、皆様のお口の中の健康から全身の健康をサポートする為にお手伝いさせて頂きたいと思っています。